光のどけき春の日に。

関西発、ゆるゆる登山。

【山行記録】上高地から涸沢へ、憧れの地でのテント泊を。(1/4)

f:id:knt-mns:20180907214402j:plain
念願の北アルプスでのテント泊をしてきました。

ヤマレコ

www.yamareco.com

和歌山から上高地へ、信州さわやか号は夜の道を走る。

f:id:knt-mns:20180907175244j:plain
今年の大阪発上高地行きの信州さわやか号は、何と21:39発。
確か、去年はこれより一時間は遅かったはず…と言うことで、かなりスケジュール的にはカツカツ。
19時で仕事を定時ダッシュしても、約30分で最寄りの駅まで移動する必要があり、そもそもこの便を逃してしまうと、信州さわやか号に間に合わない、という事態に直面することになります。(これだけはシャレにならん…。)
去年は、そこそこ時間に余裕があったので、仕事上がりにお風呂に入ることが出来たのですが、今回は時間的に一切の余裕がなかったので、仕事の休憩を出来るだけ夕方に寄せて、そのタイミングでお風呂を済ますことにしました。

また、台風が過ぎた直後のタイミングだったので、まだ電車のダイヤも乱れがちで、実際に和歌山から南に向かう電車については運休しているものも多く、北に向かうものも時間が遅れているものもあったりしましたが、何と自分が乗った電車については、定刻通り出発し、定刻通り新大阪まで動いてくれました。

f:id:knt-mns:20180907180614j:plain
いつもの阪急バスターミナルに着いたものの、まだ登山家らしき人は一切待っておらず…、バスの中のトイレを使うのは出来たら避けたかったので、ザックをバスターミナルにデポし、トイレを済ますことにしました。
戻ってくると、数名登山家の姿が見えたので、バスターミナルの場所は間違っていないというある程度の自信はあったものの、多少の不安感は残っていたので、軽く安堵感を覚えてみたり。

そうすると、ザックを背負った初老の男性がやってきて、「信州さわやか号の乗り場ってここでいいんですよね?」と。
ある程度の自信はあったものの、明確に間違いないと言い切るだけの自信がなかったので、去年もここから乗ったので、ここで間違いないはずです、とお答えしまして。
別のバスのスタッフの方に質問したところ、ここで間違いないということだったので、その男性はザックを置いてトイレに向かわれました。
一応トイレの場所は説明したものの、信州さわやか号の時間が近づいても、なかなか戻って来られず、ちょっとやきもきしたんですが、どうもトイレ帰りに買い物をされていたようで。
男性の荷物をぼくが見ていたことから、気を遣ってくださって、ビールの差し入れをいただいたのですが、生憎お酒を飲めないぼくはお気持ちだけいただくことに。
そして、バスの席が、その男性とはお隣さんでした。

f:id:knt-mns:20180907181819j:plain
今回の夜行バスは前回寝られなかったことと、足が浮腫んでしまったことの反省から、アイマスクと着圧ソックスを持ち込んで、しっかりと水分補給をしてみたんですけど、これが当たりでした。
さすがに朝まで完全熟睡とはいかなかったものの、細切れながら数時間+数時間の睡眠はとれたので、正直気持ち的にはかなり楽でした。
毎回、自身で運転するのと、バスを使うかは正直かなり悩むんですけれど、徹底的に体力も使いますし、公共交通機関を利用するのが、やや正解、な気もします。

f:id:knt-mns:20180907182316j:plain
ほぼ定刻通りで上高地に到着し、心配していた天気もまあ、曇…っていうところで、雨ではないことに安心しましたが、去年は上高地曇であっという間に雨になったので、正直今の天気については信用していませんでした。
上高地でトイレをお借りし、中でささっとコンプレッションタイツを履いたり、最終パッキングしたり、朝食のアンパンを食べたり、登山届を出したり…、何だかんだで結局6時頃になったので、不要な荷物をバスターミナル裏の手荷物預かり所で預かっていただきました。
ここ、去年も利用したんですけど、最終日の着替えとか靴とか預けられるだけで、帰りの快適度が違ってくるんですよね。

上高地街道を歩き、ひたすら横尾山荘を目指す。

f:id:knt-mns:20180907183654j:plain
今回は観光ではなく、登山が目的なので、河童橋周辺は一瞬立ち止まって写真を撮る、というレベルのスルー。
穂高の稜線には、厚いガスがかかっていますが、今日は涸沢で一泊予定なので、明日さえ天気が良ければ良し、という気持ちで歩きます。

f:id:knt-mns:20180907183733j:plain
ここで、不安だった天気は快晴に変わりました。
この分だと、涸沢までは大丈夫でしょってことで、淡々と歩きます。

f:id:knt-mns:20180907183939j:plain
約1時間ほどで明神に到着。
体も温まってきた頃だったので、立ち止まってちょっとだけ休憩して、次の徳沢を目指します。

f:id:knt-mns:20180907184149j:plain
徳本峠の入り口。
去年、徳沢ロッヂで同室だった男性と、最終ここで握手してお別れしたんですよね。
足が浮腫んでぼろぼろだった自分を気遣ってくださって、本当にありがたかったです。

f:id:knt-mns:20180907184359j:plain
徳沢着。
今日はほんとに良い天気で、キャンプをしてる人たちが本当に気持ちよさそうでした。
いつか自分もここでテントを張ってみたいですね。

f:id:knt-mns:20180907184718j:plain
徳沢園。
ここも非常におしゃれだし、お風呂にも入れるし、いつか泊まってみたい。

f:id:knt-mns:20180907184653j:plain
みちくさ食堂。
ここで何か食べようかとも思ったのですが、まだ8時半で時間も早かったので、もう一つ先の横尾まで歩くことにしました。
ただ、ここでザックを下ろして、ちょっと長い目の休憩を取ったんですけど、想像以上にザックが重かったせいか体のバランスが狂っており、体が軽いのか重いのかよくわからないような感覚に襲われました。

f:id:knt-mns:20180907185235j:plain
新村橋付近で猿を目撃。
人に慣れているのか、自分の真横を駆け抜けていったんですけど、駆け抜けられた自分の方がビビった、と言う。

f:id:knt-mns:20180907185642j:plain
距離的、時間的にも折り返し地点、中央となる横尾山荘着。
ひとまずトイレを済ませて、追加のドリンクを買いに行こうとベンチ前を通りかかったら、新大阪からのバスで隣だった男性と目が合い、軽くご挨拶。

f:id:knt-mns:20180907203214j:plain
この時点で、まだ10時になっておらず、横尾山荘での昼食提供は10時からとのことだったので、10分ちょっと小屋の中で待たせていただき、スタミナ豚丼を注文させていただきました。
当初はラーメンを注文する予定だったんですけど、自分の前に並んでいた女性二人がラーメン、男性二人が豚丼と言うオーダーをしたので、何となくここは「男やったら豚丼やろ」と言うノリで豚丼を注文をすることになりました。
この豚丼、ニンニクを使われており、まさにスタミナがつく一品で、濃厚な味と良い、非常に美味かったんですけど、ちょっと量が多く…、若干無理して食べ切りはしたんですけど、この判断が後々になって手痛いしっぺがえしを受けることに…。
だから、後から頼んだ女性はご飯少なめでオーダーしてたんんですね…、後から完璧に理解。

ここ横尾山荘で、涸沢までのドリンクを購入したんですけど、まあ1.5Lもあったら足りるだろ…っていうことで、ポカリを2本追加で購入しました。

涸沢へ、登って登って登って登る。

f:id:knt-mns:20180907205343j:plain
生まれて初めて、この横尾大橋を渡る時が来ました。
ここからは登山エリア、気を引き締めて行きましょう。

f:id:knt-mns:20180907205639j:plain
最初は上高地街道と変わらないような登山道でしたが、間もなく登山道らしい登山道に変わってきましたが、傾斜としてはまだまだ緩やかです。
事前に情報によると、本谷橋まで概ねこういう道…っていうことで、徐々に背中の荷物が重石に変わってくるのを感じつつ、マイペースで登っていきます。
後ろからくる人にどんだけ抜かれようとも、マイペース、マイペースをひたすら貫きます。

f:id:knt-mns:20180907210445j:plain
きのこ。
食べても1upしそうにないので、スルー。

f:id:knt-mns:20180907210514j:plain
屏風岩、でしょうか。
圧倒的な岩感、絶壁感。
ここを登る日は一生来ないと思うので、下からじっくり眺めておきます。
帰りが晴れるとは限りませんし。

そしてこの辺りで確信に変わったのは、本気で暑い、っていう事でした…。

f:id:knt-mns:20180907210730j:plain
やっと本谷橋が見えてきました。
コースタイムよりちょっと遅れが発生していますが、荷物も重いですし、こんなもんでしょう。

ここで、ザックを下ろして、川の水で顔を洗ったりで、ちょっと長い目の休憩を取りました。
ここは開けた場所ですし、河原で水の流れがあって、清涼感が高いので、たくさんの人がここで休憩をしていました。

コースタイム的には、ここから2時間ではありますが、キツい登りが待っていますし、荷物も重いので、3時間くらい見ておけばいいかな…なんて思ったりしたものの、3時間かかるならちょっとドリンクが少なくないか?と。
横尾からここまでそれほどの傾斜ではなかったですけど、気温の上昇からやや体力的に消耗していたので、ドリンクの残量に少しばかりの不安を覚え始めていました。

f:id:knt-mns:20180907211317j:plain
そして、ここからかなりツラい登りが始まりました。

暑さ、重さでいつも以上に体力を消耗してしまい、全くペースが上がらず。
そしてお昼にちょっと自分的にヘヴィなものをハードな量で食べてしまったせいか、お腹の中で豚丼が踊る踊る。

…気持ち悪い。
…ツラい。
…暑い。
…苦しい。

f:id:knt-mns:20180907211702j:plain
そこそこ標高も上がってきましたが、登っては立ち止まって、登っても立ち止まって…なので、なかなか距離も標高も稼げない状態。
同じようにペースの上がらない男性と、同じようなペースで登りつつ、ちょっとおしゃべりしてみたり。
目指せ3時半涸沢到着っていうことで、励まし合いながら涸沢まで登る事になりました。

f:id:knt-mns:20180907212001j:plain
山の緑が美しい、ビューティフル。
秋には、ここが紅葉するんでしょうか。
一度この目で見てたい。
一緒に登ることになった男性も、秋の涸沢は超オススメだ、と力説。

f:id:knt-mns:20180907212059j:plain
噂のガレ場に到着。
結構開けてて見晴らしはいいんですけど、遮るものがなくてとにかく暑いので、ここで休憩しようとは思えず、一目散に通り抜けました。

f:id:knt-mns:20180907212238j:plain
兎に角頑張って登りきらないと、いけない。

ペースが上がらずドリンクの消費量が上がり、最後のポカリの蓋を開けた時には、正直これは涸沢までドリンクがもたない、と。
この時、色んなことを考えていて、このままだとここで動けなくなるんじゃないだろうか、とか。
そんなことになるなら、ザックの荷物を道端に捨ててでも、荷物を軽くして登った方がいいんじゃないだろうか、とか。
誰かにドリンクを分けてもらった方がいいんじゃないだろうか、とか。

…ただもう、登るしかない、ほんとに登るしかない。

f:id:knt-mns:20180907212725j:plain
やっと開けた場所に出ました。
その時は気付かなかったんですが、ここから穂高の稜線が見えてるんですよね。
そして、涸沢ヒュッテの幟が遠目に見えて…、あともうちょっとなんだ、と自分を奮い立たせます。

f:id:knt-mns:20180907212945j:plain
沢の水に手を伸ばします。
冷たくて、冷たくて、心地よい沢水。
顔を洗って、首の裏を冷やして。

そして、あまり良くないんだろうなあ…と思いながらも、冷たい水の誘惑には勝てず、一口、二口、三口と口の中へ。
正直、これでちょっと生き返ったんじゃないだろうか、自分。

f:id:knt-mns:20180907213258j:plain
正面の小高い丘のようなところに涸沢ヒュッテがあるんですが、そこにあるのは見えてるんですが、まだもうちょっと登りが待っていて…、見た目よりずっと遠い。

f:id:knt-mns:20180907213405j:plain
ヒュッテと小屋の分岐まで到着。
ここまで来たら、ほんとにあとちょっとだけれど、とにかく登るしかない。

f:id:knt-mns:20180907213535j:plain
やっと、見えた涸沢ヒュッテ。

…本当に長かった。

f:id:knt-mns:20180907213656j:plain
そして、テン場まで下る、と。
最後のあの登りはなんだったんだろ。

まあ、兎に角ここまで来たらあとはゆっくりテントを張ってのんびりしよう…っていうところですが、正直疲れ切っていたので、いち早くテントを張って寛ぎたい、とそれしか考えられませんでした。
そしてそんな時に限って、受付の人が別の用件で出払っており、なかなか受付が進まず…、正直ルールがよく分かっていなかったので、この時間を利用してテン場の視察に行っても良かったんですけど、テント受付待ちの人が数名おり、順番抜かされるのも嫌だったので、そのまま受付小屋の前で待つことにしました。

f:id:knt-mns:20180907214210j:plain
テン場の受付に行って、2泊分のテントとコンパネ一枚の料金を払い、兎に角早くテントを張りたかったので、ヒュッテと小屋を繋ぐ石畳道沿いのスペースが空いていたので、そこにテントを張ることにしました。
正直、テントが2人用なので、コンパネはもう一枚あった方がいいんじゃなかろうか、という思いもないわけではありませんでしたが、コンパネも軽いものじゃないので、ひとまずは一枚でテントを張ってみよう、と。

…とまあ、やっぱりと言うか、案の定と言うか、このテントにコンパネ一枚は狭く、30cmほどコンパネからテントがはみ出すことになりました。
ただまあ、その部分にはザックとか、その他荷物を置いておけばいいか、ということで、追加でのコンパネのレンタルはしませんでした。
でも、次回テント持っていくことがあれば、多分コンパネは二枚レンタルするかな…と。

そして、涸沢にて。

テントを張った後は、ヒュッテの方でトイレに行ったり、水を汲んだり、明日用のドリンクを買ったりで、気がつけば夕暮れな時間帯になっていました。
この時にもう一度ヒュッテの方に行ったのですが、途中まで一緒に登ってくれた男性が登って来られました。
男性的には先に行ってくれ的な感じではありましたが、ちょっと抜け駆けみたいな状態になってしまっていたので、無事に登って来られたのでホッと一安心でした。

夕飯は、アルファ米のチキンライスを選択…したものの、正直食欲もありませんでしたが、何も食べないのは良くないなってことで、無理に食べようとしたんですが…、作り方が良くなかったのか、全く口に合わないというか、味とか、食感とか全てが受け付けない感じ。
食べられるだけでも食べようと、3/1くらいまで頑張ってみたんですけど、ちょっとそれ以上は無理だったのでギブアップ。
持ってきた行動食でお茶を濁すことに…。

そして、考えていたのは明日のことでした。
明日も涸沢でテント泊予定なので、テントを含む荷物の大多数はここにデポした上で、奥穂高に登る計画です。
ただ、今日のこの消耗度合いと、夕食を殆ど食べられなかったという状況から、明日の体力を明日の朝までに回復することはできるのか。

…いや、それは無理だろう。

ではどうする?
穂高は諦める?
明日一日涸沢で滞留して、3日目に挑戦する?
それてもテントはここに置いて、明日昼頃から登り始めて、穂高岳山荘で宿泊する?
でもそうしたら3日目に予約してる上高地まで歩くのはちょっと無理だから、キャンセル料が発生する…。
色んな事を考え、色んな選択肢を洗い出しつつ、今回の目的ってそもそも穂高に登頂することであって、上高地で宿泊することではないので、最悪上高地の宿泊はキャンセル料を払ったとしても、穂高登頂を優先すべきだろう、と。

そうして、涸沢での夜は更けていきました。
気がつけば寝ていて…、夜何度か起こされたものの、思っていたより寝ることが出来たのは、コンパネのおかげでしょうか。

(2日目に続く。)